この作文は国税庁が応募しているものなので、仮に税について否定的な意見を書こうものなら、決して評価にはならないでしょう。税に肯定的な意見しか書いてはいけない、というルールの上で応募をしているとすると、日本の税に不信感を持っているような生徒は、自己欺瞞をしながらも書かされるということです。しかし、税についてどう思うか、というのは本人次第な筈です。この税の作文の在り方に非常に疑問を感じます。教育上、これが許されるのでしょうか?
税に不信感と言いましたが、私も日本の税について不信感を持っている人間の一人です。しかし、税の作文の存在を否定してもどうしようもありません。どうして税に不信感を持つようになったか、という考えをまとめてみようと思います。
近頃、盛んに消費税率の引上げが騒がれ、2025年に消費税17%が必要、などと言われています。ここから計算すると、最大31兆円の増税が必要だということになるそうです。この増税の名目は「財政再建」と「社会保障」です。これだけの多額の増税があれば当然、社会保障は充実されていく筈です。ところが現実、「高負担、低福祉」に向かっていくようです。今年の4月、後期高齢者医療制度が開始されてしまいました。この制度は、本来なら社会福祉を受ける側の75歳以上の方でも、年金から強制的に保険料を天引きするというものです。医療費を削減したいという意図が明らかです。また「働けないのに働けといわれた」という話もありましたが、近年では生活保護も打ち切られ、あげくに死んでしまうという事件が増えています。現実に人が死んでしまっているのです。「文化的な最低限度の生活」も守られない時代です。なぜ行政は貧しい人々を文字通り「見殺し」にしてしまうのでしょう。私は強く憤りを感じます。本当に酷い話です。税金をこんなにも納めているのに、どうしてこの国では、それが還元されないのでしょうか?
さらに可笑しいのは、所得の低い人からいとも簡単に増税していくクセに、法人税は変わらないということです。思い出してみると、消費税や医療費が上がるニュースは幾度も耳にしたことがあるのに、法人税が上がるという話は聞いたことがありません。むしろ企業減税と騒がれています。どうしてでしょうか?財政が安定しないからといって、なぜ貧しい人から率先して増税していくのでしょうか?こんな不公平が許されてはいけないと私は思います。それとも庶民を虐めるのが快感なのでしょうか?何か方向が間違っているような気がします。現実に日本でも格差が大きくなっています。その証拠に、2007年8月のジニ係数は、0.5263と過去最大を記録しています。
これだけの増税をしながら、社会保障は目を覆うばかりの惨状です。どうしてこうなってしまうのでしょうか?日本は日本国憲法第9条があるにも関わらず、軍事費は世界第4位の5兆円規模となっています。私はこの軍事費が、日本をダメな国にしている最大最悪の原因だと考えています。そもそもなぜ、日本にこんなにも軍事費の必要があるのでしょうか?アメリカの鴨にされているだけだと思いますが、それにしても情けない話です。言われるがまま、戦闘機や潜水艦、使えるかわからないミサイル防衛システムなど、無駄の限りを尽くしています。もっとマシなことにお金を使って欲しいです。腹立たしいことに、これまで「高負担、低福祉」を国民に押し付けてきたくせに、この軍事費は維持していくつもりのようです。なぜ日本はここまでアメリカの軍事産業に尽くしていかなければならないのでしょうか?政府にとってしたら、国民よりアメリカの軍事産業の方が優先度は高いようです。そして潤った軍事産業が、また世界のどこかで戦争を起こしていくと思うと、税金を納めていることが罪ではないのか?人を殺すことに繋がっているのではないのか?という気さえしてしまいます。
ここ数ヶ月で物価が急上昇し、酪農家や農家、漁業関係者など、日本では最初から所得が低いような方たちが、遂に廃業まで追い込まれているようです。日本の食料自給率を見ても、こういったことに携わる人々を早急に援助していかなければ、この国が本当にダメになってしまいます。どうしてこの国は、こんな簡単なことにも気がつかないのでしょうか?
私はこんな国に生まれてきてしまって、なにか虚しさを感じます。「愛国心」という言葉が騒がれた時期がありましたが、考えてみると私には、国民を馬鹿にしているようにしか捉えられないです。愛国心を言う前に、もっと愛せる国に変わっていくべきだと思います。